こんにちは。これから私たちの行っている深層筋治療を症状別に紹介したいと思います。
筋肉の悪い箇所は断裂(キズ)になっています。これをどのようにして症状改善しているかをごらんください。

●症状[クリックするとその項目に飛びます]








1 腰痛(その1)

【症状】
・腰の中心が痛い。
・病院では腰に関する疾患名・脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症などと言われるが、なかなか痛みがとれない。
・朝、腰を動かすのが怖い。または曲げると「ピキッ」となりそうで顔を洗えない(15?30分くらい経つと徐々に動かせる)。

【治療回数】
・1回15分を4?5回程度。
・腰の横・臀部・大腿の後面・大腿前部の鼠径部・ふくらはぎ等も痛めている場合も多いので、腰の治療と合わせてやっていきます 。

【治療ポイント】
・写真1の多裂筋。腰椎4?5番間、腰椎5番と仙骨の間、仙骨の1・2番のうちのどれかです。


【治療手順】

・腰が「かなめ」と言われるのは写真1の箇所です。上記の3か所のどれかですが、一番多いのは「腰椎5番と仙骨の間」通称「腰仙移行部」です。
・まず、痛みの箇所を探します。この多裂筋は厚い筋肉のため、筋硬結(しこり)も大きく深く、また慢性の方が多いため、非常に固くなっています。
・しこりには必ず断裂部(キズ)があり、この部分を「ズーン」とする方向に押し続け「放散痛」を出します。
・写真2のように固まりを小さくするため、肘で強くこすったり(摩擦)、ベッド下へ強く押して筋硬結(しこり)を小さくします。
・これをセットで繰り返し、15分を4?5回すると痛みはもちろん、しこりも消えてきて、上体を曲げたり反らしたりする動作がスムーズになります。


【メンテナンス】

・長年の腰痛のある方は腰を治療すると、その下側(臀部?下肢)に痛みや違和感が必ず出ます。血流の悪さからくるので、焦らずひとつずつ改善していきましょう。


2 腰痛(その2)

【症状】
・腰の横に痛みがあり、手で触ると固いものにあたる。
・朝、腰を動かすと痛い(怖い)。15?30分くらい経つと徐々に動かせる。

【治療回数】

・1回15分を3?4回程度。
・ご自分の手で触って固いもの(しこり)を感じる方は、かなりの慢性なので、定期的な治療が必要です。

【治療ポイント】

・写真1の腸肋筋。

 
【治療手順】
・写真1の箇所に筋硬結(しこり)があり、大きさもかなりのものがほとんどです。この固まりで筋肉の「キズのところ」か「とがったところ(しこりが更に過緊張を起こしている)」を探し、そこを「ズーン」とする方向に押すと「放散痛」が下肢に走ります。
・放散痛が少し弱まってきたら、写真2のように肘で固いしこりをゴリゴリとこすり(摩擦)小さくしていきます。押し続ける→こする、を15分間、何セットも繰り返すことで痛みは和らぎます。

・腰痛(その1・その2)の箇所は長年の蓄積で固まりに強い「芯」がある場合がほとんどなので、この芯が消えることはなかなかありません。治療後しばらくは痛みは出ませんが、定期的に治療を続けていかないと「坐骨神経痛」や「ギックリ腰」を突発的に起こします。

【メンテナンス】

・痛みが消失したからと油断しないで下さい。腰痛(その1)の箇所もそうですが、「かなめ」と言われるぐらいで、体を動かすと必ず負担がかかりストレスを与え続けているので、週1?2回のメンテナンスを心掛けて下さい。

3 ギックリ腰(その1)

【症状】
・激しい痛みで動くことができない。
・過去にギックリ腰の経験もなく、腰痛もあまりなかった。
・病院に行ったが「骨には異常がない」と言われた。

【治療回数】

・1回30分を1?2回程度。
・今まで慢性の腰痛がなかった方は、急性筋障害のため、痛みの激しさに反比例して早く痛みを除くことができます。
・ギックリ腰になって即、治療できます(本人は怖いかもしれませんが……)。

【治療ポイント】

・多裂筋(腰痛・その1参照)か、腸肋筋(腰痛・その2参照)まれに写真1の仙骨外側の中殿筋。


【治療ポイント】
・まずどこが痛みの元なのかを探します。必ず筋肉の断裂(キズ)があり、カッターで「ズバッ」と切ったようなキズになっています。
・激しい痛みのため、患部を触られるのが怖いと思いますが、写真2のように、そーっと軽く触るぐらいの力で押し続けます。

・慢性の場合は1回でよくなる場合は少ないのですが、初めてギックリ腰になった方は固いしこりがない場合が多いので、30分くらいで痛みを消失できます。
・強い力を加え(力が加えられ)てギックリ腰になった場合は、2?3か所のキズがあるので、1か所につき30分、そのキズを押し続けてキズを消し、それをキズの数だけ繰り返します。

【メンテナンス】

・一度ギックリ腰になって、筋肉の断裂部(キズ)を完全に消失しないと、その箇所が疲れやストレスにより、本人の気付かない間に筋硬結(しこり)になり、またギックリ腰を起こすので、注意して下さい。

4 ギックリ腰(その2)

【症状】
・過去に何回かギックリ腰を経験している。
・普段でも腰痛が出る。
・どこが痛いのかがわからず、「このへん全部が痛い」と言う。

【治療回数】

・1回30分を痛めている箇所の数。
・慢性の方はギックリ腰を起こすと筋硬結(しこり)の何か所かに筋断裂(キズ)が生じ、広範囲に痛みを感じます。従って全てのキズを消失しない限り、完全に痛みは消えないので、痛みの強いしこりの順番に治療していきます(しかし、1回の治療で歩いて帰れるようにいたします)。

【治療ポイント】

・写真1の多裂筋(腰椎5番を中心として上下)、写真2の腸肋筋、あるいは写真3の中殿筋。
  

【治療手順】

・ギックリ腰経験者は「危ない!」と思ったところで止められるので、最悪の状態を避けられるのですが、外力などが加わり本当に動けなくなるギックリ腰になると最悪です。私たちの治療でもこのパターンの患者様が一番大変です(しかし、歩いて帰れるまでには治療します)。ちまたで「ギックリ腰を1回で治せる」とうたっている治療家は、本当のギックリ腰の怖さを知らない人です。この急性・慢性のギックリ腰は、一番悪いところから順に筋断裂(キズ)を探し、治療していかないと、治療後に立てなくなります。私たちは「取りこぼし」と呼びますが、一番悪い箇所を探せないと、このようなことになります。
・このパターンの治療で大切なことは、悪い箇所を探す「検索」です。
・順序は、
 1.腰椎5番と仙骨の間(腰仙移行部)を左右必ず探す(写真1)。
 2.写真1から仙骨へ、そして腰椎3番までを左右必ず探す。
 3.写真2の腸肋筋を左右必ず探す。
 4.写真3の中殿筋を左右必ず探す。
・この作業の後に「一番悪い箇所」から順次治療します。治療法は「ギックリ腰(その1)」を参照にして下さい。ひとつの箇所が終了したあと、一度立って頂いて動きを確認し、よくなれば「二番目……」と進めていきます。

【メンテナンス】

・このパターンの方は「ヘルニア」「坐骨神経痛」も経験しているので、半永久的なメンテナンス(最低週1回)が必要です。

5 坐骨神経痛

【症状】
・腰からお尻にかけて痛い。
・足先(親指)までしびれている。
・病院で「坐骨神経痛」と言われた。

【治療回数】

・1回15分を5?6回程度。
・脚全体の治療など、あとから気になる箇所が出るケースが多い。

【治療ポイント】

・写真1の多裂筋、写真2の腸肋筋、写真3の中殿筋。
   
   

【治療手順】

・坐骨神経痛は腰痛の複合型です。つまり、本人もどこが痛いのかがわからず、苦しんでいるのです。2?3か所、必ず触ると痛む箇所があるので、しっかり検索します。
・多裂筋(腰痛・その1参照)、腸肋筋(腰痛・その2参照)の治療については、前回までで述べました。あとは臀部ですが、一般的には、お尻の「えくぼ」付近を深く押すと痛みを感じますが、ここを痛みが消えるまで押してよくなればよいのですが、どうしても治らないケースがあります。そのときは、写真3の仙骨の外側の筋肉が断裂し、痛みが足の先に走っているケースがあります。
・キズに母指をあて「ズーン」とする放散痛の出る方向に押し続けます。その後、肘でゴリゴリと筋硬結(しこり)を小さくし、これを3セットくらい繰り返すとラクになります。
・坐骨神経痛を長年患っている方は、大腿裏・ふくらはぎ・足裏までの血の流れが悪く固まっているので、少しずつ緩めていきます。

【メンテナンス】

・坐骨神経痛はお尻だけしか治療しないケースが多いのですが、必ず腰の治療を忘れてはいけません。

6 股関節痛

【症状】
・脚の付け根が痛い。
・鼠径部に違和感がある。
・鼠径部に違和感がある方は、腰に問題がある。

【治療回数】

・1回30分を1?2回程度。

【治療ポイント】

・写真1の大腿骨頭周辺か、写真2の鼠径部。
     

【治療手順】

・まず写真1(後面)、写真2(前面)のどちらかを聞きます。必ず筋硬結(しこり)があり、ここを押すと「ズーン」とする放散痛が出ます。また、写真2の鼠径部は靱帯の断裂(キズ)の場合がほとんどなので、そのキズを探し、そこを押し続けます。靱帯の治療も筋肉と同じですが、靱帯のほうが固いため、キズがふさがるのにやや時間がかかります。
・股関節痛は、ここの痛みが消えると、必ず腰に違和感が出ます。
「腰痛(その1)」「腰痛(その2)」のどちらかですから、この箇所もしっかり治療しましょう。

【メンテナンス】

・股関節痛で見落としがちなのが、鼠径部の靱帯のキズです。いろいろな治療をしてもよくならない場合は、写真2の深部にキズがあるので、そのような方はお電話下さい。


7 側弯

【症状】
・上半身が左右どちらかに傾いている。
・腰の痛みから逃げるように(疼痛抑制姿勢)立っている。
・慢性的な腰痛、背部痛の方は「コブ」のように固まり姿勢が傾いている。

【治療回数】

・1回15分を2?3回程度(慢性のこりの方は10回以上かかります)。

【治療ポイント】

・写真1の腸肋筋、または写真2の最長筋。
     

【治療手順】

・まず、痛みがあるかどうかを聞きます。痛みがある場合は、腰痛の治療で側弯は改善します。
・「○○年前からこうです」という方は、写真1・2の箇所の筋硬結(しこり)が「コブ」のようになっています。コブの一番固い「芯」を押して、痛みがない場合は、写真3のように肘でガリガリこすり(摩擦)、芯の周りの浮腫(むくみ)を抜きます。

・コブが小さくなりましたら、芯を母指か肘で「ドンドン」と振動を与えるように押します。
・この作業を何セットも繰り返し、芯が柔らかくなってきたら持続的に押してしこりを小さくします。
・1?2回では目に見えた変化は出ませんが、背中は軽くなります。

【メンテナンス】

・腰の痛みから側弯になった方は、週1回は治療を続けましょう。
・慢性的な方は、10回は続けて下さい。何年もかかってできたコブは、それなりに時間がかかります。